日本では1人1台スマートフォンを持つのは当たり前、複数台を持つのも決して珍しくない時代になっています。パソコンよりスマホの流れがある中で、スマートフォンのWebサイトにおけるUI/UXの重要性が高まっています。
今回はUI/UXに注目し、重要性や良いデザインへの改善方法、UI/UXのトレンドなどをご紹介します。
目次
そもそもUI/UXとは何か
当たり前のように使っているUI/UXとはそもそもどんな意味があるのか、解説します。
UI/UXとは
UI/UXはUIが「ユーザーインターフェース」、UXが「ユーザーエクスペリエンス」という意味があります。UIはユーザーの接点、UXはユーザーの体験をそれぞれ意味します。わかりやすくユーザーインターフェースを解説すれば、コンテンツやデバイスなどに触れる際の情報すべてを指し、ボタンの配置や文字の大きさ、色、フォントなどすべてがUIに含まれます。
UXはコンテンツやデバイスなどに触れて得ることのできる経験を指しており、五感に触れて感じたことすべてが体験となります。もっと端的に示すとすれば、UIは使いやすさ、UXは体験。スマートフォンのWebサイトが使いやすいか、いい体験につながっているか、このあたりがUI/UXとして判断されます。
ユーザビリティとは
さて、UIはユーザーの接点、UXはユーザーの経験とご紹介しましたが、実際に使いやすかったかどうか、わかりやすかったかどうかを示す言葉に「ユーザビリティ」があります。ユーザビリティは、使いやすさなどを意味しており、特に何の違和感もなく、迷うことなく操作を行って、やりたいことができた場合にユーザビリティの評価が高くなります。
これらはUIにもUXにもかかってくる部分であり、いわばUI/UXの入り口にあたる部分と言えるでしょう。
UIとユーザビリティの関係性
UIは若干抽象的なもので、サイトのボタン、タグなど存在そのものを指すのに対し、ユーザビリティは具体的な使いやすさを示しています。使いやすいというのは、煩わしくない、間違いを起こしにくい、わかりやすい、理解しやすいなどの要素が入っています。この要素をもってしてユーザビリティが高いか低いかを判断します。
UIはユーザーとの接点であり、その接点となる部分が明快になっているかどうか、その明快度がユーザビリティです。そのため、UIとユーザビリティは密接な関係性があると言っていいでしょう。
UI/UXの重要性とは?
スマートフォンWebサイトを作る上で、UI/UXはとても大事とされていますが、なぜUI/UXは重要なのか、その理由をご紹介します。
ユーザーの問題解決に欠かせないから
検索エンジンを使って検索を行う場合、何かしらの問題を抱えており、その問題を解消させるために検索します。そして、問題解決につながるサイトを見つけていくことになります。しかし、問題解決の手前でWebサイトのデザインが見にくい、わかりにくい、うっとうしいなどのネガティブな部分が見受けられれば、問題解決の前に離脱してしまいます。
つまり、わかりやすい状態にしておかないと問題解決の以前にそのサイト自体に対する不満が生じてしまうのです。そのためにUI/UX、この場合ではUIを改善していくことが求められます。
何ができるサイトなのか明確にする必要があるから
企業ページなどにユーザーが訪れるのは、その企業の商品・サービスを調べるためであり、その場で納得がいけば資料請求や問い合わせといった行動に移すことができます。
この時、「わかりやすい」、「サービスを利用すればメリットがありそう」などの感情がユーザーに生じますが、この感情こそがUXにつながっていきます。UXは企業ページなどで体験したことすべてに当てはまります。
わかりやすいなどの感情にさせるには、そのサイトを利用することでどんな効果・働きを持つのかを明快にさせないといけません。
ユーザーファーストが求められるから
結局どれだけいいサービス・商品を作り出したとしても、最終的に利用してもらわなければなんの意味もありません。にもかかわらず、自分たちが作り出したサービス・商品に自信を持ちすぎることで、企業ページなどがぶっきらぼうなものであれば、せっかくいいものを作ってもその手前で拒絶されてしまいます。
お金のことを「命よりも大切」と表現することがありますが、命よりも大切なお金をわざわざドブに捨てるような行為は誰だってしたくありません。UI/UXが機能していないケースは、お金を出すことに不安があるケースです。お金を出してもらう以上は幸せな気持ちになってもらいたいわけですから、ユーザーが使いやすく理解しやすい状態でないといけません。いわゆるユーザーファーストが求められます。
UI/UXが悪いケースとは?
UI/UXが悪いケースとはどのようなケースなのか、代表的なケースをご紹介します。
確定申告で多くの人をイライラさせるe-Tax
確定申告の時期になると、e-Taxを使って所得税などの申告を行います。仕事を抜けてまでわざわざ税務署に行くのは大変ですし、ネットで完結するのであれば最高です。ところが、ネットで完結するはずなのに、事前にやるべきこと、準備すべきことが多いため、イライラする人が毎年出てきます。
この場合のUXは確定申告がネットで完結すること、UIはわかりやすく作業を進めるためのフォーマットなどですが、UIがうまくいかず、結果的に本来のUXを果たせずに税務署に足を運んだ方が確実と感じる人が目立ちます。
あえてUI/UXを悪くさせるポップアップ広告
ビジネス系、自己啓発系のWebサイトでは、ポップアップ広告が出てきて、画面の大部分を覆い隠し、消去できるボタンをギリギリ隠しながら問い合わせや資料請求を求めることがあります。ユーザー側は色々調べたくてネット検索を行ってたどり着いており、ポップアップ広告が出ている場面ではまだ問題解決に至っていません。
ポップアップ広告をクリックしてしまって無駄な時間を浪費し、うっとうしさを感じた人もいるはずです。広告をクリックさせようと色々なタイプの広告が出てきていますが、これらはUI/UXを考慮しているとは言い難く、離脱につながるだけです。
UI/UXを改善させる方法とは?
UI/UXを改善させるにはどのような方法があるのか、様々な事例からその方法を探っていきます。
UXを明確にする
先ほどご紹介したe-Taxの場合、e-Taxを利用する人にとって、あるべきUXは「簡単に納税まで終えられた」、「さほど準備しないで済んだ」など。あるべきUXを目指すのであれば、よりシンプルに作業を行えるようにすることが大切で、そこからUIを改善していき、デザインなどを考慮していけばUXが達成されやすくなります。
ユーザビリティの高いサイト、デザインになれば、簡単に納税まで終わらせることができ、準備するものもわかりやすいので事前準備もしやすくなります。
シンプルにさせる
UIが良くないサイトは、基本的にデザインなどがごちゃごちゃしています。間違いを誘発し、1つのミスで最初からやり直しという状況になるようなデザインはユーザーからすれば怒りを生み出すだけです。
なぜ間違いが起きやすいのか、糸が絡み合っているような状況を解消するために1つ1つ絡み合った部分をほぐし直すような作業が必要です。複雑な作業は本当に必要なのか、省略できる部分はないのか、なぜ複雑な作業を強いるのか、1つ1つを解決していく中でよりシンプルなデザインとなり、最終的にUXを高めます。
今後注目されるUI/UXデザインのトレンドは?
これから目にする機会が多くなるかもしれないUI/UXデザインのトレンドについて、
いくつかご紹介します。
スクローリーテリング
スクローリーテリングは、スマホなどWebページをスクロールしていく中でスクロールしたタイミングで画像や動画などが動き出すデザインです。いちいちクリックをしなくてもスクロールをすれば勝手に動き出し、メリハリよく起承転結をつけていき、最終的に知りたいこと、解決したいことに導くことができます。
視覚に訴えかけることができるので、ページに引き付けられるのがメリットです。どんどん食いつき、続きを見たくなるようにユーザーの気持ちを持っていけばその時点でUI/UXデザインとして大成功です。
マイクロインタラクション
マイクロインタラクションは、ユーザーがアクションを起こすことでアニメーションでわかりやすく見せるなど、アクションに対するレスポンスを見せるようなデザインです。YouTubeでいいねボタンを押せばサムズアップをしたボタンがカラフルにアニメーション付きで光ります。
マイクロインタラクションによって、ユーザーが何かアクションを起こすたびに反応を示すため、距離の近さを感じやすくなり、UI/UXを高めます。自分の行った行動が反映されていく演出は、当事者感を感じさせるため、途中での離脱を防ぐのに効果的です。
UI/UXの改善に欠かせないユーザーテストの注意点
UI/UXを改善させるにはユーザーテストが必須です。このユーザーテストを行うことでよりよいデザインが生まれやすく、UI/UXが改善します。しかし、ユーザーテストに頼りすぎてもいいことばかりとは言えません。
報酬が発生することで忖度される可能性を考慮する
よりよいデザインを目指す、UI/UXの改善を目指す場合、利用者にアンケートをとり、協力的な人は後日謝礼を出す形でユーザーテストに参加してもらうことをします。実際にユーザーテストを行い、その後インタビューを行うのが1つの流れですが、この時、報酬が発生することで、忖度してくる人やとにかくその時間をやり過ごそうと適当になる人などが出てくることがあります。
この場合、忌憚のない意見を言ってもらわなければなんの意味もありません。忌憚のない意見を言っても何ら問題はないという空気感を出さないと、ユーザーテストが有意義なものにならないのです。商品開発の現場では忌憚のない意見が飛び交い、遠慮を一切感じさせない同僚の言葉にいら立ったり、涙したりする場面もあります。ただ、これこそが商品・サービスの価値を高めることにつながるのです。
UI/UXを改善させるには忌憚のない意見が必須。その雰囲気づくりを行うか、行わないかが大きく左右することになります。
UI/UXはどのように勉強すればいい?
UI/UXの勉強は実際にデザインを学ぶところから始め、UIデザインを理解するところから始めます。それと同時並行でUXを学び、様々なサービスを実際に使っていく中で問題点を見つけ、自分ならどのように設計するかを考えていきます。
自分でデザインを作ったら第三者に見てもらって「忌憚のない意見」を言ってもらいます。最初は否定されることも多く、悔しいことも多いでしょうが、デザイン性が高まっていくため、必要なプロセスです。あとはセミナーに通って効率よく情報収集を行い、実際に講師に質問するといったことも大切です。
まとめ
スマートフォンのWebサイトは特にUI/UXの重要性が問われやすく、ちょっとでも使いにくいところがあればすぐに離脱されてしまいます。ゆえにUI/UXそれぞれを深いところまで考え、逆算的に改善を行うことでユーザーにとって分かりやすく、信頼されるサイトになっていきます。
UI/UXはこれで完璧に完成という段階はなく、ひとまずの完成と新たな指摘、改善のサイクルを繰り返します。秘伝のタレをどんどん継ぎ足して、よりおいしいタレを目指すような感覚でUI/UXも日々改善がなされ、より便利なWebサイトが構築されていくのです。