近年、SEO(検索エンジン最適化)に続いて「CRO」が注目を集めています。Googleの評価指標のひとつにもこのCROの基準が設けられており、ウェブマーケティングにおいて重要視されています。
この記事では、CROの基礎から具体的な施策方法まで解説していきます。
CROとはそもそもなにか?
- CROとは?
CROとは、Conversion Rate Optimizationの略称で、「コンバージョン率最適化」を意味します。
コンバージョンとは、「転換」を意味する言葉です。ウェブマーケティングにおけるコンバージョンとは、「利用者がサイトの運営者にとって期待通りの行動を起こした」ということを指します。
つまり、コンバージョン率とは、サイトが設定している目標を達成した割合で、CROはそのコンバージョン率を高めるための施策ということです。具体的な例としては、問い合わせや会員登録、資料請求、商品購入率を高めるための施策です。
ウェブマーケティングにおいてはSEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)に重きをおいてしまいがちですが、コンバージョン率を高めることも非常に大切な要素の一つです。
特に、離脱率やコンバージョン率が低いウェブサイトでは、初歩的なCRO(Conversion Rate Optimization:コンバージョン率最適化)を行うだけでも集客数に手を打たずともウェブサイト全体のコンバージョン率をアップできる場合もあるのです。
- SEO・LPO・EFOとの違い
【SEO】
SEOとは、Search Engine Optimizationの略称で、「検索エンジン最適化」を意味します。利用者に向けてGoogleやYahoo!の検索結果でできるだけ上位に表示されるようにするための施策です。SEOはお金を支払ってできるものではなく、利用者のニーズに合う優良なウェブサイトであるとGoogleに認識されることが重要となります。
【LPO】
LPOとは、Landing Page Optimizationの略称で、「ランディングページ最適化」を意味します。
利用者は、ランディングページにアクセスした際に自分の目的が果たせないと判断すると、そのウェブサイトからすぐに離脱してしまいます。利用者の離脱を防ぐために、情報を充実させたり、操作性を改善したりする必要があります。
【EFO】
EFOとは、Entry Form Optimizationの略称で、「入力フォーム最適化」を意味します。利用者が入力フォームから離脱しないようにするための施策です。
利用者が入力フォームまでたどり着いているにも関わらず、そのアクションを完了させることなく離脱してしまうことがあります。
その原因には、入力項目数が多い・必須項目が分かりづらい・全角半角の指定がある・他のページに遷移しやすい仕様になっているなど、利用者のストレスになり得る要因が多くあることが考えられます。
- CROで重要なポイント
CRO(Conversion Rate Optimization:コンバージョン率最適化)とウェブマーケティングにおいて重視されやすいSEOは、そのどちらの施策を打とうとすると時に対立が起こる場合があります。SEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)に関しては、検索トラフィックで計測できる施策であるため、キーワードやリンクで改善することができます。一方CRO(Conversion Rate Optimization:コンバージョン率最適化)は、ユーザーのエンゲージメント(愛着心・思い入れ)が重要であるため、機械的な施策では改善は見込めません。つまり、ユーザー目線に立った施策を考える必要があるのです。
Googleでは、ウェブサイトの評価基準として、「ユーザーは平均的に上位表示サイトを多くクリックしているのか」「検索結果ではなく関連キーワードやオートコンプリートをクリックするか」「検索結果にすぐに戻ってきたか」というユーザーの行動を常に観察しています。
これらの目的を達成させるためには、ユーザー目線に立って考えられたCRO(Conversion Rate Optimization:コンバージョン率最適化)が重要視されるということです。
しかし、CRO(Conversion Rate Optimization:コンバージョン率最適化)を重視すべきだからと言って、SEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)をないがしろにしていいというわけではありません。
CRO(Conversion Rate Optimization:コンバージョン率最適化)とSEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)のどちらかが欠けても、ユーザーの目的達成は成功しない場合があります。最終的には、どちらが自社のビジネスに適しているかを選択する必要があります。
- CRO実行のためのステップ
CRO(Conversion Rate Optimization:コンバージョン率最適化)を効果的に行うためには、「ユーザーが何を探しているのかを十分に理解する」「ユーザーを満足させることなく離脱させてしまう要因を見つける」ことが重要であるとされています。これらを実行するためには、次のステップを踏みましょう。
① メインキーワードのターゲットを絞る
② 同じ検索結果を導く関連キーワードのターゲットを絞り広げていく
③ 若干広義となるキーワードを追加する
④ ①〜③で決定したキーワードで競合サイトを調査し、ユーザーの達成したい目的を調べる
⑤ ユーザーになりきりどんな情報が欲しいか少数グループにアンケートを取る
⑥ アンケート結果を集計し、ユーザーが達成したい目的を知る
⑦ 達成したい目的に応じたコンテンツを作成し、より分かりやすくするためのレイアウトやでデザインで公開する
⑧ タイトルやタグ、見出し、画像、表示速度、ブランド性など、内部SEOを実施する
⑨ 使いやすさを実際にテストする
⑩ 改善を繰り返す
CROのフロー
- 仮説を立てる
仮説を立てる際に重要なのは、「定量調査」と「定性調査」を同時に行うことです。
「定量調査」はGoogleアナリティクスなどのツールを使用して測定する次のような数値の調査のことを指します。
・PV数(Page View:訪問者数)
・UU数(Unique User:訪問したユーザー数)
・CV数(Conversion:目標達成数)
・直帰率 など
一方「定性調査」とは、アンケート・ユーザーインタビュー・グループインタビューなど、数字で表現できない、ユーザーの具体的な意見のことを指します。
例えば、定量調査で直帰率が他のページと比較して高いページが見つかった際に、そのページの直帰率を単純に落とすための施策を取ろうとしがちですが、「直帰率を落とす施策をすることがコンバージョン率に関係しているか」を考えることが大切です。これを考えずに直帰率を落とす施策を行っても、コンバージョン率にはなんら意味がないということも起こり得ます。
そこで重要になってくるのが、「定性調査」を行うことです。定性調査も一人だけを対象にするのではなく、複数人に調査を行い、全員に共通する項目を改善することがポイントです。
作り手側の意見だけではどうしても独りよがりになってしまうため、ユーザー側の意見を取り入れることで有効なコンバージョン率最適化が実施できるようになります。
- テストを行う
定量調査と定性調査の2つの調査を行い、仮説を立てたらA/Bテストを実施します。A/Bテストとは、ウェブマーケティング手法の一つで、ある仮説をAとBの2パターン用意し、同じユーザーを半分に分けてどちらがより高いCTR(Click Through Rate:クリック率)・CVR(Conversion Rate:コンバージョン率)を得ることができるのかを検証する方法です。
- 解析をする
解析を行うことは、CRO(Conversion Rate Optimization:コンバージョン率最適化)のフローにおいて最も重要であるとされています。A/Bテストを実施し、その結果から仮説の検証を行い、またテストを実施するというサイクルを繰り返します。A/Bテストの実施回数は、統計学的にはおおよそ2,000回行うのがベストであるとされています。
CROにおける代表的な施策
CRO(Conversion Rate Optimization:コンバージョン率最適化)の代表的な施策には、以下のような方法があります。
- エントリーフォームの修正
エントリーフォームを変えることは、コンバージョン率に直結するとされています。まず、現状のフォームの項目を全て洗い出し、それらが本当に必要な要素であるかどうかを精査していきます。要素を精査する上でも仮説を立て、増減を繰り返すテストを行います。
- CTAの修正
CTAとは、Call To Actionの略称で、「行動喚起」を意味します。
「お申し込みはこちら」などのボタンのことを指し、ユーザーのコンバージョンに直結するものです。CTAの修正には、CTAの色や形、文言、設置場所を変えるなどのポイントがあります。多くのコンバージョン率の低いサイトは、このCTAの設置場所が間違っていることが多いと言われています。さらに、CTAに導くための文言も重要であり、「お申し込み」や「ご購入」など具体的な文言は比較的コンバージョン率が低くなるとされています。
- 導線の修正
導線の修正とは、ユーザーが実際にコンバージョンに到るまでの道のりを見直すことです。
ここでのポイントは、「トップページおよびLP(Landing Page:最初に表示されるウェブページ)の直帰率」「トップページや商品ページからエントリーフォームに遷移する割合」「エントリーフォームの入力を完了・送信しコンバージョンをする割合」です。この3つの割合を調べることで、どの導線部分に問題があるのかを洗い出すことができます。基準となる割合は、「トップページおよびLP(Landing Page:最初に表示されるウェブページ)の直帰率」は60%以下、「トップページや商品ページからエントリーフォームに遷移する割合」、「エントリーフォームの入力を完了・送信しコンバージョンをする割合」は共に10%以上であるとされています。
おわりに
CRO(Conversion Rate Optimization:コンバージョン率最適化)は、SEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)に続いて重要視されるウェブマーケティング手法の一つです。
ここで紹介した施策は一般的な手法ですが、必ずしも自社のビジネスに沿う方法であるとは限りません。大切なのは、「解析」をきちんと行うことです。自社のビジネスに有効なCRO(Conversion Rate Optimization:コンバージョン率最適化)を目指しましょう。