SNS利用者は現在も増加傾向にあり、SNSのプラットフォームを使って流す「SNS広告」は今やマーケティングの主流と言っても過言ではありません。
代表的なSNSプラットフォームとしてはLINE、Twitter、Facebook、Instagram、TikTok、YouTubeが挙げられ、「6大SNS」とも言われています。
ここでは、6大SNS広告の特徴・効果・メリット・費用相場などの基礎知識を解説するとともに、成功事例や選び方を紹介します。
SNS広告とは
SNS広告とは、LINE、Facebook、InstagramといったSNSプラットフォームに、自社の商品やサービスを紹介する配信広告をいいます。
SNS広告は、ユーザーのタイムラインやストーリーズ、おすすめアカウント欄などに表示され、ユーザーに対して視覚的に直接訴求することができるという特徴があります。
6大SNSの特徴
LINE、Twitter、Facebook、Instagram、TikTok、YouTubeは国内に多くのユーザー登録を持ち「6大SNS」といわれています。それぞれの特徴は以下のようになっています。
LINE
国内月間ユーザー数は9,300万人以上(2022年3月現在)で、国内で最も利用者数の多いSNSがLINEです。ユーザーの年齢層に偏りがなく、老若男女が幅広く利用している特徴があります。
また、LINEユーザーの特徴は、メッセージ機能のみを利用しているユーザーも多くいるということです。そのため、拡散効果は他SNSと比較して高くないものの、お友達登録できれば、そのユーザーに対してダイレクトに訴求することができます。
国内月間ユーザー数は4,500万人(2017年10月現在)で、総務省の調査によるとユーザーの年齢層は10代~50代と広く、最多層は20代のユーザーです。
Twitterの特徴にはリツイートによる拡散機能の高さと匿名性が挙げられます。
国内月間アクティブユーザー数は2,600万人(2019年7月現在)ですが、全世界では29億3,000万人(2022年6月現在)を誇る、世界を代表するSNSです。女性よりも男性の割合が高く、年齢層は30代以降の利用率が高い特徴があります。
Facebookの特徴としては、実名制と長期的な利用が挙げられます。
国内月間ユーザー数は3,300万人(2019年6月現在)で、全世界では10億(2018年6月現在)が利用しているSNSです。10代から40代までの女性の利用割合が多い特徴があります。
Instagramの特徴は、「インスタ映え」と言われる画像や動画といったビジュアルに特化していることです。
TikTok
16歳以上の国内月間アクティブユーザー数は1,700万人(2021年8月現在※App Annie調べ)で、全世界では10億人以上(2021年9月現在)が利用しているSNSです。国内利用者の3分の1以上が10代と若年層から支持を集めています。
TikTokの特徴は、短い動画の投稿が中心で、親しみやすさを前面に出していることです。
YouTube
国内月間アクティブユーザー数は7,000万人(2022年10現在)で、全世界では20億人のアクティブユーザーを抱えている世界最大の動画共有SNSです。ユーザーの年齢層も10代から50代と広く、男女比率も同割合です。
YouTubeの特徴は、幅広いユーザー層と豊富なコンテンツ、YouTube上で活動するYouTuberの存在が挙げられます。
SNS広告のメリット
SNS広告のメリットには、「ターゲットへのアプローチ」と「潜在顧客の掘り起こし」が挙げられます。
ターゲットへのアプローチ
SNSにアカウントをつくる際には、年齢や居住地域、職業などの個人情報を登録します。また、「いいね」やコメントなどのアクティブログが記録されるため、広告出稿側は、細かなターゲティングが可能で、自社の商品やサービスのターゲットとなるユーザーに対して的確に訴求することができます。
潜在顧客の掘り起こし
自社の商品やサービスを知らないユーザーに対して広告を表示することでアピールし、その認知を得ることで、新たな顧客を開拓する可能性を得ることができます。
顧客にダイレクトな広告ができる
SNS広告は、ユーザーのSNSアプリに広告をダイレクトに配信することができます。そして、配信した広告がユーザーとマッチした場合、いいね、クリック、シェア、コメントといた多くのエンゲージメントを得られることが期待でき、その結果、広告が自然に拡散し、ターゲット以外のユーザーへの波及効果にも期待ができます。
安価にスタートできる
SNS広告は、テレビやチラシと比べて安価でスタートすることができます。テレビCMは東京キー局の場合、一回あたり40~80万円とも言われており、継続して広告を流すとなるとかなりの広告費が発生します。一方、チラシなどの紙媒体の場合は、一回あたり10万円前後で抑えることも可能ですが、レスポンス率は0.01%~0.03%と言われており、コストパフォーマンスの面で信頼性に欠けます。これに対して、SNS広告は10万円程度から効果が見込め、また、出稿する広告の差し換えや、時間帯などの条件も変更しやすいため、コストパフォーマンスが強い広告ということができます。
SNS広告の種類と効果
インフィード広告
インフィード広告は、SNSのタイムラインに通常の投稿と似た形で表示される広告です。タイムライン上の他の投稿に溶け込みやすく、広告の印象が少ないことから、流入を呼び込みやい効果があります。一般的なSNS広告として出稿量が増加傾向にあります。
ディスプレイ広告
ディスプレイ広告は、SNSやWebサイト内の広告枠に表示する広告です。
幅広い層に自社の商品やサービスをアピールする効果が期待されています。そのため潜在顧客の掘り起こし効果に期待ができる一方で、商品やサービスに関心の薄い層からの流入は期待が薄いという特徴もあります。
タイアップ広告
タイアップ広告とは、宣伝したい企業がメディアや媒体に広告費を支払って、記事などを通じて自社の商品やサービスを宣伝する手法です。そのため「記事広告」ともいわれています。
タイアップ広告の効果はタイアップ先の評判に左右されるため、最近では知名度の高いインフルエンサーを活用する例も多くなっています。
SNS広告の費用相場
SNS広告の主流は「運用型広告」です。「運用型広告」とは、予算やサイト、広告内容とターゲットとの関連性を踏まえて、最適な広告枠に出稿できる方法で、予算や広告の内容、配信頻度などをコントロールできる点が大きなメリットです。
また、SNS広告の費用には、固定報酬型、インプレッション型(表示回数)、クリック課金型、動画視聴型などの様々なタイプがあり、SNSのプラットフォームやタイプによって異なります。
そのため、各課金額はあるものの、明確な広告費用相場はなく、自社の予算に沿った最適な広告戦略を展開することが重要です。
プラットフォーム別SNS広告の成功事例
LINEでの事例:株式会社ヤッホーブルーイング
クラフトビールの製造・販売会社の株式会社ヤッホーブルーイングは、LINEに公式アカウントを開設して情報を積極的に発信。LINE広告(友だち追加広告)を定期的に配信して、ターゲット層である30代後半~40代男性の友達獲得に成功しました。
Twitterでの事例:岩谷マテリアル株式会社
マチ付きポリ袋「アイラップ」を販売している岩谷マテリアル株式会社は、少ない広告宣伝費で商品の認知度を上げるために2018年6月にTwitterで公式アカウントを開設しました。
開設から1カ月した頃に「#一般人の方が時々誤解しておられること」という当時のトレンドワードを盛り込んで、自社の現状をボヤキのようにツイートしたところ、大きな話題となり、公式アカウント開設から半年でフォロワーが2万人に到達しました。その後も月1~2回のペースでフォロー&リツイートすると非売品グッズが当たるキャンペーンをTwitterで展開し、フォロワー数を約25万人にまで増加させることに成功しています。
Facebookでの事例:ワールド・ファミリー株式会社
ディズニーの英語教材など、幼児向け英語教材を提供するワールド・ファミリー株式会社は、ターゲット層である25~44歳の女性向けに、キャンペーンの当選者がもらえる景品や、英語教材の動画を投稿し、ユーザーの関心を引き付け、WEBサイトからの商品購入率が2.4倍に増加しました。
Instagramでの事例:日本航空株式会社
航空業界最大手の日本航空株式会社は、2019年のラグビーW杯日本大会に合わせて日本代表を応援する広告を配信。また、ストーリー広告でラグビー日本代表選手を起用し、ラグビーのルールや豆知識を15秒で紹介する手法を使い、短期間で1,000万リーチの獲得を実現しました。
TikTokでの事例:株式会社バルクオム
男性用化粧品会社の株式会社バルクオムは、18歳以上の男性をターゲットとして、TikTok広告を配信しました。
同社のTikTok広告の特徴は、メインの内容をストレートに訴求する工夫をしていることです。広告の冒頭部分を1秒削ったり、TikTok上のユーザーの反応を検証して理解した自社製品の強みをフィードバックさせることで訴求力の高い広告を制作しました。
また、ターゲット層である18歳以上の男性にリーチすることを目的に、広告を配信する時間帯を夜にするといった工夫もしています。このような工夫の結果、TikTokのメインユーザーである若年層から評価されるようになりました。
YouTubeでの事例:「カペルミュール」(株式会社ウエイブワン)
サイクルウエアを取り扱う「カペルミュール」は、テレビCMや雑誌などを使った広告を展開していましたが、ターゲット層であるライトユーザーからの認知獲得に苦戦していました。そこで、広告効果の測定がし易く、広くユーザーに広告配信ができる YouTube広告の利用を始めました。
これまでリーチできなかったライトユーザー層にアプローチするため、自転車とは関係ない「散歩」や「アニメのタイトル」など幅広くキーワード選定。また、広告内容を1カ月単位で見直し、効果が乏しいものは1~2週間で差し換える柔軟性をもって運用しました。さらに、これまでテレビCMに使っていた動画素材をリニューアルして、YouTube広告に使うなどの工夫をしました。
すると、「カペルミュール」というブランド名での検索ボリュームも伸び、ブランドとしての認知力が向上しました。その結果、サイトへの流入は約8倍に増加して、売上も倍増し、ネットショップでの販売増加にともない、一時期は商品の生産が追いつかない事態にもなりました。
また、本来は、30代〜40代の男女をターゲットとしていましたが、Googleの分析結果で50代〜60代男性によるクリック率が高い傾向にあることも判明しました。
SNS広告の選び方
重要なのはターゲティング
まず、最も重要なことは、自社の商品やサービスを誰に訴求するかを決めることです。性別、年齢層、職業など自社のターゲットとなる顧客層をきちんとイメージしましょう。
ターゲット層を得意とするSNS
自社のターゲットとする顧客層を定めたら、次はそのターゲットにアプローチするために広告出稿するSNSプラットフォームの選定です。6大SNSだけ見ても、ユーザー層や広告の見せ方が異なります。
それぞれのSNSプラットフォームの特徴を把握して、自社のターゲット戦略にマッチした最適な出稿先を決める必要があります。
出稿する広告の種類
SNSプラットフォームによって、広告の種類が異なります。また、出稿方式によって広告料金の仕組みも異なっています。費用対効果を比較考量して、自社の商品やサービスを最も訴求できる方法を選びましょう。
まとめ
いまや主流となってきたSNS広告ですが、どのSNSプラットフォームで、どのような広告手法を使うかによって、効果や費用は変わってきます。それぞれの特徴をよく理解して、自社のターゲット戦略にマッチした広告展開をしていきましょう。